中古物件の罠~不動産投資で破綻を防ぐための自衛手段

中古物件の場合、敷金に関する権利義務は新オーナーへ承継されるため、安くても損をしてしまう場合があります。破綻を防ぐために何をすれば良いのか?任意売却の時期等について解説します。

Lesson14不動産投資で破綻

不動産投資に失敗してしまった男性

今から不動産投資を始める方が最も気になっているであろう「破綻リスク」についてご説明したいと思います。
比較的安全な投資であるため、不動産投資会社のサポートがあればまず破綻する事はありませんが、万が一の際に責任を取るのは不動産投資会社では無く“貴方”です。
経営破綻に陥ってしまったケースを知り、傾向と対策を予め確認しておきましょう。

破綻に陥るケース

どのような原因・要因があって破綻に追い込まれてしまうのか。
まずは不動産投資で失敗してしまった例をご紹介致します。

キャッシュフローの見通しが甘かった

破綻となる最も多い原因で、単純に収益よりも費用が上回ってしまい「利益」を得られなかったケースです。
利回りが良く・安価な地方物件を発見したが、稼働率(入居率)が著しく低い物件であり、キャッシュフローが追い付かないという典型的な不良物件を掴まされてしまった結果、破綻に追い込まれる方は後を絶ちません。
表面利回りだけでなく、実質利回り・NOI利回り・キャッシュフローのシミュレーション等、様々な角度から検証を行いましょう。

敷金でいっぱい食わされてしまった

中古アパートを相場よりも100万円安く買えた!と喜んでいたのも束の間。
その物件には多額の「敷金」が預けられている可能性があります。
判例では、貸主が変更された場合、その敷金に関する権利義務は新オーナーへ引き継ぐ(承継される)とされており、仮に100万円安く不動産を取得出来たとしても、既存の入居者から敷金150万円を預かっているようなケースだと50万円損をしてしまっている事になります。
「中古アパート」を1棟購入する場合、必ず“預かっている敷金がいくらなのか”を確認しましょう。

度重なる修繕

地方の戸建て物件等、少ない初期投資で不動産を始める場合に多い破綻例です。
マンションとは違い、木造やRC造りがほとんどの戸建てでは、見た目には分からなくても“隠れた瑕疵”がある可能性があります。
家の基礎・柱・土壌に問題(湿気の所為で腐っている・劣化している・シロアリがいる等)があり、傾き・沈下・倒壊等に発展する事も多く、修繕費がとてつもない額となる事も決して少なくありません。
こうなると室内のリフォームだけで済む話では無くなり、土壌や基礎が既に修繕不能であれば、最悪の場合には家屋全体の建て替えを余儀なくされてしまいます。
予め、前オーナーや仲介不動産会社と、隠れた瑕疵があった場合の保証についてしっかりと話し合っておく事が大事です。

無茶な設備投資

資産価値を上げるため・空室率を下げるため等、理由は様々ですが、物件にそぐわない設備投資は逆に破綻の要因となり得ます。
例えば、月額6万円のワンルームマンションの床に大理石を使用したとしても、それが大きな需要アップに繋がるとは思えませんので、その設備投資は費用対効果に見合っていないと考えます。
あくまで極端な例ではありますが、このような“ミスマッチ”が続くと費用と収益が徐々に合わなくなってしまいますので、どの設備にどのくらいの費用を掛けるべきなのかをしっかりとシミュレーションする事を強くお奨め致します。

実際の破綻率はどのくらい?

「不動産投資の破綻率」に関する正確なデータはありませんが、住宅支援機構の平成29年度決算期(平成)を見るとある程度仮定する事が可能です。
住宅支援機構は投資・債権買取・資産運用等、様々な営業活動を行っておりますが、同社が有する債権はほぼ“住宅ローン”による貸付金です。

そのため「買取債権」「貸付金」の二つの勘定科目を合算し“現在貸し付けている金銭の合計額”に、回収見込みがなくなった債権の損失である「貸倒引当金」の割合を計算すれば、大まかではありますが“破綻率”を導き出す事が出来ます。

買取債権の貸借対照表計上額…14兆7979億円(内、貸倒引当金502億円)
貸付金の貸借対照表計上額…8兆4723億円(内、貸倒引当金1242億円)

これを合算すると保有する債権は「23兆2702億円」、貸倒引当金が「1745億円」が計上されているため、割合としては全体の約0.7%が破綻している事が分かります。
なお、これはあくまで金利が安い住宅ローンの話であるため、不動産投資に於けるローンでは恐らくこの3~5倍に及ぶものと推察されます。
従って、実際の破綻率は「0.7% × 3~5% =2.1~3.5%」程度では無いかと考えます。

万が一破綻してしまった場合の対処法

如何に滑り出しが良くても、時の運や情勢によって状況が大きく変わる事があります。
収益性の低い物件を保有し続けても損失が大きくなる一方ですので、一度撤退し体制を立て直すという判断を行うのも投資を行う上では重要です。
ローンが支払えなくなってしまった際の対処法についてまとめました。

物件の売却

物件を売却しローンと相殺する事で残債を減らすキャッシュフローの改善方法です。
資産を完全に手放す事になりますが、ローンを大きく減らす事が可能なため、最も効果的かつ基本的な対策であると言えます。
毎月の費用が無くなるため月々の支払が楽になりますが、売却時期の見誤り・買い叩き等で更に損をしてしまう恐れがあるため、最も信頼が出来る不動産会社に依頼する必要があります。

他の金融機関からの追加借入

資産を手放さず、不動産や保険を担保に追加融資を得る事で、キャッシュフローの立て直し及び運営の再建を図る対処法です。
ただし、不動産に既に抵当権が設定されている場合がほとんどであり、積極的に融資を行ってくれる金融機関は少なく、借入元を探すのは困難を極めるでしょう。
また、資産を残すという事は毎月の費用が引き続き発生しますので、専門家に介入して貰い、診断やサポートを受ける事を強くお奨め致します。

自己破産

個人であれば自己破産する事で債務が免責されますので、不動産を全て売却しても数千万円規模の借金が残ってしまう場合には、自己破産を取る方がほとんどです。
厳密に言うと借金が帳消しされるには「免責許可」を受けなければなりませんが、不動産投資の場合は事業による失敗と判断されるため、免責が不許可となる可能性は低いでしょう。
あくまで最終手段ではありますが、万が一失敗しても免責となるという点では非常に強い安心感があると言えます。

信頼出来る不動産投資会社選びを

破綻した多くが“1つ目の物件”で失敗をし、その損失が取り戻せないまま破綻しています。
そのため、1戸目又は1棟目の物件が今後の不動産投資に大きな影響を与え、それを紹介する不動産投資会社又は不動産会社は非常に重要な役割を担っていると言えます。

しっかりと実績を積んでいる不動産投資会社であれば破綻率はほぼ0%であり、万が一の事態に陥ってしまっても、保証が充実しているため安心です。
言われるがまま契約を行うのではなく、複数の候補物件を検討しつつ自身でもしっかりと吟味を重ね、破綻へのリスクを出来るだけ軽減するように努めましょう。

結 論

まずは破綻原因と傾向・対策を知りましょう!
1戸目の物件が今後の投資に大きく影響!
信頼出来る不動産投資会社を選ぶ事が何よりも重要!