利回りに騙されるな!良物件を見抜く「キャッシュフロー」

利回りが高くともキャッシュフローが低い物件は実質的な収益が得られていない事を意味しますので、リターンが少ない不良物件と言えます。収益を上げるために重視すべきポイントをシミュレーションしました。

Lesson3キャッシュフローとは?

キャッシュフローを考える

キャッシュフロー(現金流量)とは、読んで字の如く、資金の流れを指します。
金融・会社経営といったビジネス全般の会計用語として使われますが、不動産投資に於けるキャッシュフローは若干意味が異なります。
不動産投資の基礎になりますので、始める前に予め意味の違い・重要性・作用等、基礎知識について知っておきましょう。

不動産投資に於けるキャッシュフロー

不動産投資では、キャッシュフローは“実際に手元に残るお金”、つまり利益をストレートに示す意味で用いられる場合が多いです。
厳密には収益から税金を引く前に残るお金になりますが、銀行への返済・諸費用を指し引いた上で残った金額になりますので、利回りで表すと「実質利回り」に近い数値になります。

キャッシュフロー計算式

(満室時家賃収入 × 想定稼働率)- 想定経費 - 銀行返済額

の和差積商が「キャッシュフロー」と呼ばれる数字となります。
また、計算式に使用される各々の名目詳細は以下の通りです。

満室時家賃収入

1年分の家賃を合算し、算出します。
アパートの場合「1戸当たりの家賃×12か月×戸数」となります。

例:家賃8万円 × 8戸のアパートの場合…
8万円 × 12か月 × 8戸 = 768万円

想定稼働率

不動産は常に100%で稼働している訳ではありません。
個人向けの賃貸であれば2~3年で退去される事がほとんどですので、次の入居者が決まるまでの数か月間、その物件は「非稼働」となります。
また、リフォーム・トラブル等で稼働出来ないというケースも考えられます。

例:丸1か月稼働が無かった場合、その年の稼働率は83.3%

想定経費

共用スペースの光熱費や維持管理費・リフォームに要する費用・固定で掛かる税金関係等を合算した数字になります。想定する場合、満室時家賃の15~25%で計算します。

例えば、家賃12万円・稼働率90%・経費20万円・銀行返済額8万円の場合
(144万円 × 90%)- 20万円 - 96万円 = 13万6千円
この物件の1年辺りのキャッシュフローは13万6千円という計算になります。

現金流量重視で選ぶ投資のメリット

不動産投資では、“キャッシュフローが良い物件=利益率の高い物件”と置き換えて頂いても差し支えありません。
不動産投資にはいくつかの類型やスタイルが見られますが、安定性・実益を考えた場合にはこの「キャッシュフロー」を基準に考えるのが一般的かつベターです。
キャッシュフローが何故重視されるのかについて解説したいと思います。

レバレッジにより資産増加スピードがUP

キャッシュフローが高い物件であれば、当然手元に残るお金が多くなりますので、現在保有している不動産の初期投資の回収がその分早くなります。

例えば、1棟アパートを頭金1,000万円・計7,000万円で購入した場合で、キャッシュフローが100万円であるケースと50万円であるケースを比べてみると、初期投資回収までに前者は10年であるのに対し、後者は20年必要となり、実に2倍の時間を要してしまうという事が分かります。
一般的には初期投資さえ回収出来れば次の物件の購入も検討しても良い段階と考えられておりますので、キャッシュフローが良ければ良い程、2棟目・3棟目と、次の不動産購入を検討(レバレッジ)する事が可能となるのです。

少ない元手で資産を出来るだけ早く増やすのであれば、とにかくキャッシュフローが良い物件を選び、どんどん次の不動産へ投資するべきと考えます。

キャッシュフロー重視でNGな物件

現金流量を重視した不動産投資を行うのであれば、以下のような物件はお奨め出来ません。

土地が高く、建物が安い物件

地価は大きな変動が起き辛いため、土地=資産価値が高いという事になります。
もちろん、資産価値が高い事は安定した投資が可能と言う事を意味しますが、キャッシュフローの観点から見ると芳しくありません。
建物が安いという事は家賃もそれ相応なものとなってしまいますので、収入が低くなってしまう可能性があります。

キャピタルゲインを狙った物件

「数年後に開発が行われるため地価が上昇する事が予想されている」等の特段の事情があり、不動産を安い内に購入し、高くなったら売却するという目的で物件を購入する事があります。
購入時と売却時の差額で収益(キャピタルゲイン)を得る方法で、非常に大きな利益を得られる可能性がある不動産投資です。
キャッシュフローが出る上にキャピタルゲインも見込める、という事なら言うまでもありませんが、そのほとんどは収益の見込めない原野・雑種地・山林といったものであり、見込みは薄いでしょう。

実際のシミュレーション

キャッシュフローが悪い物件にはどのような特徴がみられるのか、実際に以下の物件でシミュレーションしてみましょう。

利回りは高いがキャッシュフローが悪いケース
購入価格 4,500万円
家賃 7万5千円
部屋数 6戸
諸経費 170万円
銀行返済額 216万円
空室率 30%

表面利回り
540万円 ÷ 4,500万円 = 12.0%

キャッシュフロー
(540万円 × 70%)- 170万 - 216万円 = ▲8万円

上記物件は表面利回り12%と、悪い数字ではありませんが、キャッシュフローを見ると毎年8万円の赤字である事が分かります。
いくつかの要因が考えられますが、この場合、

空室率が30%と非常に高い
諸経費が約31.4%を占めている

が原因であると考えられます。
対策方法としては、リフォームや広告で空室率の改善を行う、管理会社を変える及び固定費の節約で諸経費を抑える等が挙げられますが、そもそも需要が低い地域の場合だと根本的な解決にはなりません。

しっかりと基準設定する事が大事

実際に購入している物件のキャッシュフローはどのくらいかを計算してみる事はもちろん、周辺の物件のキャッシュフローはどのくらいなのか、不動産会社に確認する事も大事です。

また、キャッシュがいくら残るのかを基準に考える場合、「○○円(又は○○%)以上じゃないと絶対に買わない」といった自身でルールを決めた上で、2つ目、3つ目の不動産に手を出すようにしましょう。
中々良い物件に巡り合う事は難しいですが、利回りだけに振り回されずきちんとリサーチを重ね、機をジッと待つ事も大切です。

結 論

利回りは高いがキャッシュフローが低い物件に注意!
しっかりとシミュレーションするのが大事!
自身で基準を設定し、該当する物件だけを購入しましょう!