その物件は本当に適正価格?~不動産算定方法の基礎

まずは相場よりも高い金額で広告を出し、徐々に値を下げていくのが不動産売却のセオリーです。相場を知らないと査定額よりも著しく多い金額で取引してしまうことがありますので、算定の基準を知っておくのが望ましいでしょう。

Lesson16収益物件の「評価方法」

評価方法について迷っている男性

不動産投資をはじめたい!でも相場がわからない…
今売りに出ている物件の適正価格か知りたい
よく“DCF法”と聞くけど、どのようなもの?
「不動産の価格」は、物件を選ぶ際に必ず検討すべきです。
せっかく良い物件を見つけても初期投資がかさんでしまってはキャッシュフローが停滞してしまい、今後の運営に影響を与えてしまう可能性があります。
購入する前に必ず“適正価格か否か”をしっかりと見極めましょう。

売れない不動産は存在しない

そんなに差が出るものなの?と思う方も多いかもしれませんが、不動産は査定額の80~120%の価格で取引をされていると言われています。
事実、日本で一番中古物件を抱えている「東急リバブル」では、まずは査定の115%の価格で物件を販売し、売れなければ徐々に下げていくという手法を採っています。
なお、東急リバブルでは“査定額の80%まで下げても売れなかったときは自社で買い取る”という独自のシステムを採用しておりますが、実際に買取に至るのは年に数件程度だそうです。
つまり、不動産は安ければ必ず買い手が現れるため、法令上の制限で売れない(取り壊し物件等)を除いて必ず売却することが可能なのです。

3つの評価方法

まずは物件の査定方法の基本について知っておきましょう。
不動産の評価方法の分類としては、以下3つの方式を用いるのが一般的です。

原価法

計算方法:再調達原価-減価修正で求める

同じ建物を作ったらいくら掛かるのか(再調達原価)
老朽化や設備の過不足による価格修正(減価修正)
という観点から評価を行う方法です。
ひと昔前までは法定耐用年数にて1年辺りの劣化を差し引いていましたが、当該方法ですとRC造だと47年・木造だと22年で建物の価値がゼロになってしまい、正確な市場価格が出ないという問題がありました。
現在では構造の部位や設備、修繕による機能回復等による加算・減算までを行うことで、より実態に近い査定価格となっています。

取引事例比例法

計算方法:取引事例を基に比較考量

地域要因や個別的要因を加味した上、似たような取引事例から査定額を導き出す算定方式です。
取引価格と大きな差異が出ないというメリットがありますが、地方の場合は同様の取引事例の資料が少ないため、やや正確性に欠けるというデメリットもあります。
都心部であれば取引実績が豊富なため不動産投資会社のホームページをチェックすれば、簡単に「大体の相場」を知ることが可能です。

収益還元法

計算方法:純利益(総収益-総費用)から算定

収益還元方式とは、文字通りその物件が将来生み出すと予想される収益によって不動産の資産価格を求める方式です。
不動産投資を行う際には維持管理費・公租公課・管理費用といった様々な費用が掛かりますが、実際に得られる賃料からこれらのコストを引いて算出された純利益を基に価値を算出することで、より現実的なインカムゲインを想定することができます。
ただし、不動産の価格が著しく高騰している場合等ですと賃料との齟齬が生まれやすく、価格と収益性がマッチしない可能性があります。

DCF法とは

国土交通省では、J-REITといった「証券化された不動産」を算定するときはDCF法を適用しなければならない、と定めています。
※運用の詳細は国土交通省が発表する「不動産鑑定評価基準ガイドライン」をご確認ください。
DCFとは「Discounted Cash Flow」の略で、簡単に言ってしまうと収益の対象となる不動産を保有している期間に得られる収益(インカムゲイン)と、証券の期間満了後の売却によって得られる収益(キャピタルゲイン)を細かく算定した上で、当該不動産の価値を算出する方法です。
広義の意味では「収益還元法」に分類されますが、経済事情の変動や事例・論理的な統合性までを鑑定報告書に記載せねばならないため、より正確な収益性を求める事が可能です。

不動産投資の評価方法についてまとめた図

どの方法が良いのか

不動産投資に於いてはやはり“収益性”が最も重要な指標になりますので、賃料相場や売却時の純利益から算出される『収益還元方式』で算出するのが良いと言われています。
しかしながら、上記方法にはそれぞれ特徴・メリットがあり、どの方法を用いるのかについては当該物件の地域性や個別的な要因を都度判断するのが望ましいでしょう。
なお、相場よりも安い!と購入した物件が、実は違法建築物件であった・多大な補修が必要であった、といったケースもあります。
例えば、耐震偽装が問題となった「姉歯事件」では、相場よりも著しく安い金額で取引されていたことで多くの投資家やマイホーム購入者が騙され、最終的に多額のローンのみを残す結果となってしまいました。
価格の根拠等をしっかりと説明してくれる不動産投資会社を選んだ上、適正価格の90%程度の物件を掴むのが理想的です。

結 論

収益性で選ぶなら収益還元方式がベター
相場の上昇により実際の収益と差が出る場合も
「価格の根拠」もしっかりとチェック