火災・地震保険は入るべき?リスクで見る不動産投資

火災や地震時の対策法として“保険”が最もメジャーかつ効果的です。ただし、木造建築の場合には保険料が高くなってしまう、全額保証が不可能といったデメリットがあります。コスパとリスクをしっかりと把握する事が大切です。

Risk7震災や火災が起きた時

災害で不動産が事故物件に

不動産投資を行うのであれば、稼働させる不動産は安くても数百万円、高ければ億に近い金額となります。
なお、そのほとんどが銀行からの借入であり、大きな資産を得るのと同時に負債も背負う事を意味します。
地震・火災・豪雨といった災害や、自殺・孤独死といった事故が資産価値にどのような影響が及ぼすのかについてまとめました。

保険加入率は意外にも低い

災害に対応する保険では「火災保険」と「地震保険」がメジャーですが、実はこの2つの保険、意外にも加入率が低くなっています。
火災保険は全体の8割程度地震保険は全体で3割程度にとどまっており、驚くべきことに天災の如何によっては翌日に数千万円の借金のみが残る可能性も否定出来ないのです。
なお、加入率が低い理由の1つとして「保険料の高さ」を挙げる事が出来ます。

高くて加入を戸惑う方が多数

火災保険は、水害等までをカバーしたものであってもワンルームマンションであれば2~3万円程度で済みますし、高層階等の場合は雨による被害確率が著しく低いため水害特約を付けずに更に安く済ませる事が可能です。
問題は地震保険の保険料です。
財務省が推奨する地震保険の場合、保険金額は以下の通りとなっています。

東京都で地震保険に加入した場合
保険金額1,000万円につき 耐火構造の物件で22,500円
非耐火構造の物件で36,300円

つまり、仮に時価4,000万円の全損で満額を補う場合、マンションで年間90,000円、戸建て物件で145,200円が保険料として掛かる計算になります。

保険で満額補えない

一般的には火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で地震保険の保険金額を定めます。
そのため、原則として全ての被害を保険のみで賄う事はほぼ不可能です。
また、建物は保険金額5,000万円が限度となっており、高額な物件に対応していない点がネックとなります。

必ず加入しましょう

不動産は超が付く程の高額なお買い物です。
万が一無保険で物件が消滅してしまうような事が起こった場合、数千万円の借金のみが残る事態になりかねません。
火災保険+地震保険の場合1年辺りの保険料は12~15万円程と高額ではありますが、必ず加入しておく事を強くお奨めします。
特に南海トラフ地震の発生確率が今後30年で70~80%と発表されている東海・近畿・南関東地方では加入必須の保険と言えるでしょう。

内閣府「南海トラフ地震対策」
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/index.html

“事故物件”は価値が下がる?

孤独死」「事件」「自殺」「事故」等により、所有するマンションがもし“事故物件”になってしまったら…不動産の価値はどのように変わってしまうのでしょうか。
資産価値の変動データ、対策方法について解説します。

有名な「事故物件」

ホテルニュージャパン火災の新聞報道

東京・赤坂の“ホテルニュージャパン”では1982年(昭和57年)の大規模火災により、多くの死者を出してしまいました。
赤坂のど真ん中という超一等地であるにも関わらず、“死者が出てしまった土地”といういわく付きの物件となってしまった結果、当該ホテルの跡地は競売を掛けても10年以上売れ残ってしまう事態となりました。
2000年に経営元である千代田生命が破綻し、AIG生命に経営が引き継がれ、ようやく同土地は外資系保険会社“プレデンシャルファイナンシャル”へ売却される事が決まりました。
ピーク時で3,000億円にまで昇った当該土地の地価ですが、598億円でも買い手が付かなかったようです。

価値は下がらないが買い手が付かない

事故物件で資産価値が下落するかというと、決してそういう訳ではありません。
「不動産で死人が出てしまった」という事実が簿記上の価格には全く影響しない為です。
実際に事故物件であることを明示しているのにも拘わらず、近傍の物件とほぼ同額で売られているのを目にしたことがある方も多いと思います。
問題は、“買い手や借り手が見つからない”という事です。
需要が下がる事で売値や家賃が下落し、実質的に資産価値を下げてしまうのです。

事故物件の告知義務

事故物件の事を、法律上「瑕疵のある物件」と言います。
瑕疵とは、分かりやすく言えば“キズや欠陥”の事で、例えば建築上の設計ミスやシロアリ等の害虫被害、地盤沈下等もこれに含まれます。
一方で、死人が出たことで不動産価値が落ちてしまう事を「心理的な瑕疵」と分類しておりますが、法律上細かい規程が定められている訳ではなく、習慣や自主規制に委ねられているのが現状です。
つまり、事故物件なのか、そうでないのか、というはっきりとした線引きが無いのです。

事故物件売買に関する主な判例

投資用不動産の売買による裁判では、“市街地なのか商業地域なのか”“事件の残虐性”“居住形態(単身かファミリーか)”によって告知すべき期間は変動するとしています。
なお、心理的な瑕疵を受けるのは実際に居住する人であるため、売買に於いては大きな価格の下落は見られず、損害も1割程度に収まっています。
ただし、これらはあくまでケースバイケースであるため、取得または手放す際はしっかりと不動産屋とすり合わせを行う必要があるでしょう。

瑕疵が認められたケース
売買の1年11か月前に入居者が睡眠薬自殺を図り、その後病院で死亡した賃貸物件の売買を巡る裁判では、①売主が本件事件の存在を知らなかった、②本件売買時点前後における、本件建物の賃料収入に変化はなかった、③事件後約2年が経過している、という点を挙げ、瑕疵については認めていたものの、損害賠償額としては売買金額の1%相当額とした。

瑕疵が認められなかったケース
競売入札の約2年前、殺人放火事件があった都心商業ビルの取引を巡る裁判で、裁判所は、①本件建物は一般的に匿名性が高い都心部に所在している事、②本件事件が一般の人々の脳裏に残存しているとは考えにくい事、③事件のあった貸室についてもその事件を知りながら次の賃借人が入居している事等を挙げ、事故によって不動産の価値が著しく下がったとは言えないとしています。

事故を逆手に取った不動産投資

宅建業法上、自殺等で入居者が死亡した後の最初の入居に関しては重要事項説明(賃貸又は売買時に必ず説明しなければならない事)の際に告知義務があるとされています。
そのため、事故物件の場合、相場の3~5割の家賃で貸し出しを行わざるを得ず、オーナーから見ると痛手でしかありません。(※なお、不動産屋の一部では一時的に誰かを住まわせることで、告知義務を回避し、賃貸契約を結んでいます。)
ただし、現代ではネットが普及した事で、ひと昔前に比べて広く入居者を募ることが可能となった事で“事故物件専門の不動産会社”といった、事故物件を逆手に取った賃貸ビジネスも生まれています。
幽霊を信じない人にとっては家賃が安くなれば嬉しい、オーナーは稼働率が下がらなくて嬉しい、と需要と供給が上手くマッチしているのです。

対策を予め講じる

入居時の審査で、事故や事件を予想する事はほぼ不可能です。
単独死を回避するために入居者の年齢を下げるという手段もありますが、いつどんな状況であっても予期せぬ形で事故は起こってしまうものであり、回避出来ないリスクと言っても過言ではありません。
つまり、素早く対応する事でリスクや被害を最小限に抑えるしかありません。
管理会社と連絡を密に取り合い、状況等を適宜確認出来る状況を作るように心がけましょう。

結 論

事故は審査段階で防ぐ事が出来るが100%は回避できない
災害は原則保険で対策!
告知義務は状況によって変わるため要確認