時効はいつまで?家賃滞納が起こる前に知っておきたい知識

入居時にしっかり審査を行っていたとしても「家賃滞納」は起こってしまいます。万が一の際にどのように対応すべきなのか、どのような法的手段があるのか、保証は付すべきか等を予め知っておく事が大切です。

Risk2家賃滞納の発生率

家賃収入を計算する

家賃の未払いはどのくらいの頻度、割合で起きているのでしょうか?
公益財団公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が2018年6月に発表された賃貸住宅市場景況感調査によると、家賃2か月以上の滞納は何と1.4%の賃貸物件で起こっている事が分かっています。

滞納率推移
月初全体の滞納率 月末での1か月滞納率 月末での2か月滞納率
6.6% 2.8% 1.4%
日本賃貸住宅管理協会「市場景況感調査」
https://www.jpm.jp/marketdata/

家賃が支払われない際にどのような策を講じるべきなのか、また、どのようにして防ぐべきなのか等についてまずはご説明して行きたいと思います。

いつでも起こり得るリスク

当然ですが、家賃が支払われないと収益を得ることが出来ませんので、キャッシュフローの停滞・稼働率及び利回りの低下といった数々の不利益を被ります。
更に管理費や税金等の負担が生まれるため、家主にとって空室よりも遥かに怖いリスクであると言えます。

もちろん、そのために入居者がきちんと家賃を支払ってくれるのかを入居時に審査するわけですが、病気や解雇といった後発的事情によっても未払い・滞納は起きてしまいますので、一定割合で起こり得るリスクと言えるのです。

家賃滞納に関する法的知識

不動産に関する法律

家賃滞納を放置してしまうと、収入が無くなってしまうばかりか、管理費や税金といった諸費用を丸々負担せねばならなくなってしまいます。
また、家賃を支払わない人は家を綺麗に使ってくれない傾向も見られ、リフォーム代も高額に及んでしまう危険性もあります。
家賃未払い時に取れる法的手段にはどのようなものがあるのか、どのような場面で利用すべきなのか等について解説します。

請求しないと時効に?

債権の事項は原則として10年です。(民法第167条 債権は、10年間行使しないときは、消滅する。)
ただし、民法には例外として短期消滅時効となる債権を定めています。この例外の一つが“家賃”です。(民法第169条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。)

ちょっと分かりづらいですが、「年又はこれより短い時期によって定めた金銭」の事を定期給付債権と言い、5年間何もしないと消滅時効となり今後請求することが出来なくなってしまうのです。
そこで、民法ではこの時効を止める(正しくはリセットする)ために、いくつかのルールを定めています。これを“時効の中断事由”と言います。

時効の中断事由は5つ

時効の中断事由には「請求、差押え、仮差押え、仮処分、承認」の5つがあります。
この内、請求及び承認は特別な手続を経ないで行う事が可能です。
最もオーソドックスな“請求”は文字通り、債務者に対して家賃を請求する行為を指し、“承認”は入居者が「払います」と意思表示をしたケースの事を言います。
(俗に言う「一筆書いてもらう」という行為がこれに当たります。)つまり、オーナー側が意図せずとも無意識の内に時効が中断していることがほとんどなのです。

法的措置方法

家賃を回収するため、時効を中断するため…目的は各々違いますが、自身で請求しても支払われない場合には法的手段に訴える必要があります。
家賃滞納時に行える手段として以下の方法があります。

内容証明

内容証明郵便で請求の意思表示をする法的手段です。この手続自体には何らの法的拘束力はありませんが、当該郵便が相手方に到達してから半年以内に裁判を提起すれば時効が中断されますし、この時点で支払ってくれる入居者もいます。

損害賠償請求

賃貸借は「契約」です。
したがって、契約をきちんと履行しなかった事に対して損害賠償請求を行う事が可能です。(債務不履行に伴う損害賠償請求)
簡易裁判所で行える「少額請求」を利用する事で比較的安価で行う事が出来る法的手段です。

強制執行

裁判所の命令により強制的に入居者を退去又は財産を徴収する制度です。
掛かった費用は入居者へ請求する事が出来ますが、支払い能力がない場合も多く、あくまで最終手段となります。

債権譲渡

家賃の未払い金はオーナーが入居者に対する「債権」です。この債権は第三者へ事由に譲渡することが可能ですので、サービサー(債権回収会社)等に譲渡することで家賃を充当することが出来ます。

家賃保証会社でリスクヘッジ

今までご説明してきたのはあくまでも「家賃の滞納があった後」の対策ですが、この家賃未払いリスクを予め軽減させることが出来る制度があります。
それは「家賃保証会社を活用する」という方法です。
家賃保証会社を保証人とする事で審査に通らない入居者でも部屋を借りることができ、オーナー側は家賃の未払いリスクを回避する事が可能となるため、まさにWINWINの制度と言えます。
費用はプランにもよりますが、保証金として入居者から(又は折半)1~2か月分多く預かり、これを保証会社に支払うというケースがほとんどです。
家賃滞納が起こる前に予め対策を打つというのも一つの手と言えるでしょう。

法的手段・対策法まとめ

検討時期 法的拘束力 難易度
内容証明郵便 家賃滞納 簡易に行える
損害賠償請求
(少額訴訟)
家賃滞納 簡易に行える
強制執行 家賃滞納
退去に応じない
手続が難しいため弁護士等の介入が必要
債権譲渡 退去後 譲渡先へ支払う義務 簡易に行える
保証会社 入居前 保証会社へ支払う義務 簡易に行える
結 論

2か月以上の滞納は賃貸物件の約1.4%で起こっている
家賃の滞納は破綻を招く危険なリスク!
保証会社を利用したリスクヘッジもある