かぼちゃの馬車&TATERU問題とは?不動産投資会社の不祥事

相場以上の価格での販売、過度な家賃保証、違法建築ギリギリの物件、と危険性が叫ばれていた「かぼちゃの馬車」ですが、2018年遂に破綻しました。当該問題から学ぶ不動産投資会社の“悪質性”について解説します。

悪質な営業マンが蔓延る現実

“不動産投資は儲かる!”と営業マンに勧められ、始めてはみたものの一向に収益が上がらない…という方が多くいらっしゃいます。それもそのはず、悪質な不動産投資会社の営業マンは「儲かる」と偽り甘い事業計画や収益予測をチラつかせ質の悪い物件を高い金額で売りつけるためです。悪徳業者・営業マンに騙されないためにも、不動産投資を提案された際に“物件概要資料”“レントロール”の見方は最低限知っておきましょう。

物件概要資料とは

概要資料とは、その物件の大きさや所在地、法令上の制限(用途地域・建ぺい率・容積率等)、大まかな利回り等が記された資料のことを言います。不動産投資会社が営業を行う際にまず初めに見せる資料であり「物件の情報が詳しく書かれたチラシ」と言い換えても良いかもしれません。

物件概要資料イメージ

不動産投資会社の営業スタイルや物件によって記載事項やデザインは異なりますが、概ね上記イメージ画像のような内容が記載されています。中古物件の場合は「現況(賃貸中や空室等)」が記載されているので大まかな収益予測を立てやすいですが、新築の場合はあくまで想定値になるため、実態と齟齬が生じる可能性が高くなります。

レントロールとは

レントロールとは、物件の収入と支出の予測を細かく記した書類のことをいいます。不動産投資会社によって書式は異なりますが、主に以下のような事柄が記載されています。

【レントロールイメージ】

収益・支出が記載されたレントロール

当然ですが、レントロールは収益と支出を知る上で大変重要な資料となります。特に、一棟建てアパートやマンションを中古で取得する場合、現況(入居状況や利回り)によって初動が大きく変わるため、必ず確認しましょう。

敷金に要注意!

中古のアパートやマンションを1棟で購入する場合、敷金の返還義務も新オーナーへと引き継がれます。そのため、例えば敷金が数百万乃至は数千万円あった場合、新オーナーはそれを返さなければならないのです。不動産会社や旧オーナーが不親切で説明してくれない又は故意に説明しないということがありますので、預かっている敷金については必ず確認しましょう。

業者の「嘘」を見抜くには

上記資料で見るべきポイントとしては、

①値段が適正か?
②想定通りの利回りは本当に見込めるのか?

この2点に尽きます。

悪徳業者の中には不当な価格設定を行う事がありますので、まずは適正価格なのかをしっかりと判断する事が先決です。こちらは近傍宅地や類似物件等を比較することである程度の予測を立てることが可能ですが、類似不動産等同等の価格であっても「都市計画法」や「建築基準法」等で思わぬ制限が掛けられている場合もあります。比較の際は、細かい記載事項までしっかりと確認するようにしてください。
②につきましては、「築年数・構造・所在地」「現況は間違っていないか」「税金はしっかりと含まれているか」等が重要なポイントとなります。レントロールの記載事項をしっかりと確認し、気になる点はどんどん質問するようにしましょう。また、1棟マンションや1棟アパートではネット代金やそれらのメンテナンス費用がオーナー負担となっているケースもあります。必ず細かい費用も全て含めたレントロールを用意してもらうようにしてください。

不動産投資会社が起こした不祥事

流行する不動産投資ですが、取り扱い会社(不動産投資会社)や銀行の不祥事が度々問題となっています。「説明された話とあまりにも違う」「書類の不正作成」等の手口が多く、気付かぬ内に悪徳業者の被害に遭ってしまっていることも十分に考えられます。

かぼちゃの馬車問題

不動産投資会社「スマートデイズ」は、30年間の家賃保証と8%以上の利回りを謳い、女性向けのシェアハウス“かぼちゃの馬車”を800棟以上販売。しかし、実質利回りは説明を大きく下回る2.5%前後であったとみられており、スマートデイズは家賃保証分の損失を穴埋めし続けねばなりませんでした。さらに、表面利回りを最大限に引き上げるため1部屋4畳程度で他部屋との仕切りは薄い壁が1枚という「違法建築ギリギリ」の物件であった点も問題となりました。

紹介で利益を得ていた
スマートデイズ相関図

スマートデイズの物件は相場の70~80%程度の家賃で入居できるため、上京したて・日々の生活に困窮しているといった女性たちが集まりやすい傾向にありました。入居される多くの女性が「就職先が決まっていない」という点に着目した同社は、入居と併せて職業を紹介(職業紹介事業)することで提携企業から紹介料を受取っていたようです。さらに、スマートデイズでは建築会社へ施工を依頼すると同時に当該建築会社らから建築費用の40~50%のキックバックを受けていたことが判明しました。つまり、仮に建築費用が3,000万円だった場合、1,500万円の紹介料を受取っていたことになります。そのため、5,000万円相当のものを8,000万円で、6,000万円相当のものを1憶円で、といったように「キックバック分を上乗せした相場よりも高い価格」での販売を繰り返していたのです。

スマートデイズの破綻
かぼちゃの馬車間取り図

上記は、かぼちゃの馬車の間取りの一例です。こちらの物件で「家賃4万円・管理費1万円」の計5万円が入居者の負担となるのですが、近隣のアパートで相場が5.5~6万円ですので、相場よりも著しく安いわけではないことが分かります。そのため、入居率は50~70%と低い水準であり、オーナーに支払うべき家賃を同社が負担し続けなければならない状態に陥ってしまいました。2018年1月、遂に家賃の支払が滞り、同年4月には破産手続へと移行。2019年1月現在清算中となっています。

TATERUの通帳改ざん問題

TATERUは、2006年2月設立の不動産投資会社(旧商号:株式会社インベスターズ)で、設立僅か10年の2016年に東証一部上場を果たしています。2018年4月に現在の「株式会社TATERU」へ商号が変更され、有名人を起用したCMで話題となりました。“アパート×IoT”をキャッチコピーにした最新技術導入物件を販売することで急成長を遂げた同社ですが、先日不正に書類を改ざんし融資を引き出していた可能性が浮上しました。

融資が通り易いように偽造

事の発端は、ある会社員の告発です。TATERUは“頭金ゼロでもはじめられる不動産投資”を売りにしており、被害を受けた会社員男性も同様に「元手が不要」という営業を受けたそうです。提案された物件は約1憶1,000万円の物件でしたが、当該会社員男性の預金残高は23万円。「流石に審査に通らないだろう」と考えていたところ、TATERUの担当者から融資決定の連絡を受け、契約に至ったとの事です。しかし、借入先となる西京銀行へ提出した資料を確認したところ23万円だった預金残高が623万円に改ざんされていたことがわかり、今回の不正が発覚しました。

旨い話には裏がある

スマートデイズ然りTATERU然り、不動産投資会社が銀行とタッグを組んで知識の無い会社員を食い物にする…という構図が多く見られます。
「騙された被害者も悪い」という風潮がありますが、両事件共に巧妙に仕組まれており防ぐのは困難であったと考えます。少しでも「おかしい」と感じたら絶対に契約は結ばず、しっかりと立ち止まって考えることも重要です。

結 論

正確な概要資料・レントロールをもらいましょう
銀行と悪徳業者がタッグになっているケースも
良すぎる条件には裏がある可能性大