副業時の確定申告はした方が良い?~手順と作成例まとめ
不動産投資の確定申告
確定申告とは、自身の1年間の収入と支出を計算し、当該所得に対して支払うべき税金を申告する手続の事を言います。
一般的な会社員の方であれば会社が「年末調整」を行ってくれるため確定申告を行う必要はありませんが、不動産所得が発生する事で給与と差異が生じるため、最終的な所得を税務署に対し申告せねばならないのです。当ページでは、確定申告に必要な手続や書類の作成方法及び記載例等について解説したいと思います。
確定申告の手順
電子申告はICリーダーや利用者識別番号といった準備が必要になりますので、まずは「書面申請」から覚えることをお奨め致します。
国税庁へアクセス
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl
上記URLより「確定申告書等作成コーナー」へ進みましょう。
初めて作成する方は「作成開始」、2回目以降であれば「保存データを利用して作成」を選択してください。

「e-Taxで提出する」「印刷して書面提出する」という選択が出ますが、今回は右の書面提出を選択してください。

まずは「決算報告書」を作成しましょう

上記ページにまで進みましたら「決算書・収支内訳書」を選択し、「作成開始」をクリックしてください。くどい様ですが、今回は書面での提出になるため「印刷して郵送等で提出する」「青色申告決算書を作成する」を選択しましょう。

青色申告決算書の種類ですが「青色申告決算書(不動産所得用)」を選択してください。

すると、未記載の決算書が開かれますので、まずは以下画像の通り収益から入力していきましょう。

「賃貸料」をクリックしますと、収支内訳書が開かれますので、収益物件の情報を入力していきましょう。今回は月8万円の家賃収入があった事を仮定し、入力していきます。

「新規に不動産所得の収入を入力する」をクリックし、物件詳細を入力してください。また、礼金や敷金等を受取っている場合には、ここで入力してください。

次に、掛かった経費について入力していきましょう。今回は税金と保険料が5万円ずつ、
支払った金利が85万円(3,500万円・35年ローンを想定)だったと仮定します。

また、減価償却費(※減価償却費の詳しい記載はこちら)の計算方法は定額法と定率法がありますが、別途届出等を行っていない場合には定額法を用います。計算式は「購入代金(取得費)×償却率」となりますが、取得費と耐用年数・現在の築年数のみ入力すれば勝手に計算してくれますので、特段難しい計算を行う必要がありません。また、不動産投資会社側から「減価償却費の計算の明細」を受取っている場合、その金額を直接入力し、当該明細を添付する形でもOKです。なお、取得費については不動産投資会社の担当者に念のため確認を取っておくとベストです。
今回は取得費2,000万円の新築マンションを運用していると仮定します。

これで収入と経費の入力が完了です。

「青色申告特別控除の入力」を行いましょう。“10万円控除”“65万円控除”の2つの選択肢がありますが、65万円控除については「事業規模であること(詳しくはこちら)が条件となっているため、副業として行う場合はほとんどの方が10万円控除になります。最後に、住所氏名を記載し「青色申告決算書」の作成は完了です。


「所得税の確定申告書」を作成
決算書の入力が終わりましたら、次に所得税の確定申告書を作成します。給与所得と不動産所得が合わさる事で、最終的な年間所得が算出できます。決算報告書への入力が終わりますと「入力事項を引き継いで確定申告書を作成する」という項目が出ますので、そちらを選択し、そのまま作成してしまいましょう。
まずは「青色申告の有無」「生年月日」について入力します。

収入金額等の「給与」欄をクリックすると、支払われた給与・源泉徴収された金額・支払った保険料等の入力が行えますので、会社から受け取った源泉徴収票を基に記載していきましょう。※今回は年収400万円と仮定させていただきます。

その他受ける控除が無い場合には、この入力のみで終了です。入力終了をクリックすると、還付又は納付の別、還付先の口座番号・マイナンバーの入力等が求められます。

印刷し管轄税務署へ提出

上記で作成した書類を印刷しますと、「確定申告書4枚(カラー2枚・白黒2枚)」「決算書8枚(カラー4枚・白黒4枚)」「添付書類台紙1枚」となります。添付書類台紙へ本人確認書類及び源泉徴収票を貼付した上、上記の書類に返信用封筒(送付の場合のみ)を添えて税務署へ提出又は送付してください。送付の場合には簡易書留にて送付する必要がありますが、レターパックプラスであれば簡易書留扱いである上に封筒としての機能も兼ねているため、お奨めです。(返信用封筒としても使えますので2通用意するのがベストです。)早ければ数週間で税務署から「収受印が押された控え」が返信されてきますので、大切に保管しましょう。以上で、確定申告の手続きは完了です。
確定申告は必ず必要?
確定申告が必要になるのは「給与以外の所得が20万円を超えた」場合に限ります。そのため物件次第(例えば、都内の新築マンション等)では、法律上申告する義務はありません。しかしながら、収益が赤字であれば確定申告する事でその分所得を減らす効果(所得税が安くなる)がありますし、青色申告控除を受けるのであれば期限内に確定申告を行わないと控除を取り消されてしまう可能性もあります。20万円以下の収益が発生したが申告するか迷っている(申告する事で所得が上がる)というケースですが、青色申告が一度取り消されてしまうと1年間は再申請出来なくなってしまうため、収入が少ない場合であっても申告を行うのがベターです。
青色申告とは?
青色申告とは、簡単に言ってしまうと「複式簿記による帳簿付け」を条件に税務上の控除を受けられる制度のことです。言葉ですととても難しく感じますが、やってみると意外にも簡単で、特別な会計知識(簿記等)も必要ありません。帳簿付けや申告時に書類が若干増えてしまうというデメリットがありますが、最大65万円の控除が適用される上に最大3年間赤字を繰り越せるという大きなメリットがありますので、利用する事を強くお奨め致します。なお、当該制度を利用するには事前に届出を行う必要がありますので、開業届を提出する際に一緒に提出しておくと良いでしょう。
※上記はあくまで申告の一例であり、内容を保証するものではございません。必ず実態と現行法に基づいた正しい申告を行ってください。慣れるまでは税務署・税理士会・青色申告会が行う無料相談等で事前チェックを受ける事を強くお奨めいたします。
- 結 論
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青色申告の届出は開始届と同時に提出しておく
申告義務が無くても申告しておくのがベター
確定申告は郵送でも行える