一括借り上げは本当に危険?サブリースとの違い・リスクについて

安定したインカムゲインを得られる不動産投資として、一括借り上げシステムを選ぶ会社員の方が増えています。契約の見直しによる賃料下落もあり得るため、同システムのリスクや仕組みについて予め知っておきましょう。

一括借り上げ・サブリースとは

一括借り上げとサブリースを解説

築年数が増えて行く事で家賃は徐々に低下していき、それに比例して利回りも下がっていきます。また、より安定した利回りを確保するためにアパートやマンションを一棟丸ごとリース又は貸し付けるという“一括借り上げ”というシステムがあります。当ページでは制度の概要やメリット・リスク等について解説したいと思います。

一括借り上げとサブリースの違い

一括借り上げとサブリースの図

一括借り上げとは、読んで字の如く物件を一括で借りる事を言います。不動産会社又は不動産投資会社がオーナーから一棟丸ごとを10年乃至は30年といった長期間に亘って賃借し、自社の責任に於いて入居者を募集し、家賃によって収益を得るシステムです。①物件オーナー⇒②不動産投資会社⇒③第三者という形の賃貸借契約となり、一般的には「①⇒②」をリース(賃貸借)契約、「②⇒③」をサブリース契約と言います。つまり、一括借り上げはシステム全てを包括する広い概念、サブリースは一括借り上げ後の収益をするための運用方法という狭い概念といったイメージです。

レンタルとリースの違い

レンタルとリースは共に“物を貸して賃料を得る”ため、「賃貸借契約」に該当しますが、契約内容は以下の違いがあります。

リース レンタル
契約期間 法定耐用年数が10年未満の物は70%、10年以上の物は60%の期間が最短 定め無し
(1日でも数十年でも可能)
契約解除 原則中途解約不可 解約予告期間を経て解除
修繕義務 借主 貸主
危険負担 借主 貸主

レンタル⇒短期間の賃貸借契約
リース⇒長期間の賃貸借契約

といったイメージです。リース契約は長期に亘って賃貸人の手元から離れてしまうため、賃借人の負担が重めに設定されている事が分かります。ここで問題となるのが「賃借料」に関する法律上の規定です。

一括借上げの罠

一括借り上げのリスクとは

「30年家賃を保証してくれるなんて夢のような制度だ」
と、お考えの方も多いのでは無いでしょうか。確かに、実際に30年間家賃を保証してくれるのであれば稼働率が100%と同じ結果を得る事が出来ますので、買えば買う程儲かる仕組みと言えます。ただし、「上手い話には裏がある」という格言の通り、一括借り上げには実は大きなリスクが隠されています。

家賃相場の80%での貸し付けとなる

当然ですが、家賃相場の100%でそのまま貸し付ける事は出来ません。一括借り上げの場合の賃料相場は満室時のおおよそ80%となっており、稼働率80%で運用出来た場合のインカムゲインと同等となります。最終的に80%以上の稼働率を見込めるのであれば、当該保証率では損をしてしまう計算です。

管理を任せないといけない

一括借り上げを行う場合、当然ですが運営権もそのまま不動産投資会社へ移ります。従って、管理業務やリフォーム等については全て賃借人(不動産投資会社)の裁量で行われ、契約の如何によってはオーナー側もリフォーム代金を負担する事があります。リフォーム会社は当然不動産投資会社側の息が掛かった業者になりますし、代金のキックバックを受けるケースもあるようです。また、家賃保証を80%と謳っておきながら別途管理費を請求するという悪質な不動産投資会社も存在しているとの報告もあります。

賃料改定による収益減少リスク

一括借り上げの際に最も注意したい点が「賃料の見直し(賃料改定)」です。一括借り上げは民法上の賃貸借契約の規定を軸としていますが、 “賃料の見直しは行わない”という条項を盛り込んでいるのが一般的です。では、賃料は30年間変わらないの?と問われると、実はそうではありません。ちょっと難しい話にはなってしまうのですが、民法では「契約者の自治」を広く認めているため、契約者間の裁量で自由に取り決めが可能です。しかし、全てを認めてしまうと法律で弱者を守れなくなってしまうので、どちらか一方が明らかに不利な条項は無効となってしまうのです。これを「強行規定」と言います。
つまり“家賃減額請求権を付さない”という条項が強行規定に当たるかが論点となるのですが、裁判所は当該条項がある場合でも「借地借家法32条1項の規定により、本件賃貸部分の賃料の減額を求めることができる。」としています。

最高裁判所判例(平成15年10月21日判決)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52299

従って、契約後に建物の劣化や近傍地価の下落によって家賃の減額請求が行われる可能性は十分に考えられ、それに従わない場合には契約解除をされてしまうリスクがあるのです。新築時の稼働率が高い時期だけを運用し、稼働率が下がってきたら減額請求・契約解除を行うという非常に悪質な手口と言えます。

丸投げしない事が大切

結論から申し上げますと、一括借り上げという「システム」を否定するつもりはありません。賃料改定等のリスクはあるものの、契約中は非常に安定したインカムゲインが得られますので、確実な資産形成を狙えます。しかしながら、一括借り上げですと不動産の運営に一切関知しなくなってしまいますので、はっきり言って「つまらない」というのが個人的な本音です。地方物件ですと自身で管理する事が難しいので、ある程度不動産投資会社や管理会社に業務を委任するのが一般的ですが、重要な判断については必ず自身で行う事が望ましいと考えます。“自身の判断が収益に繋がる”という投資の醍醐味を見出してみてはいかがでしょうか。

結 論

一括借り上げの際は「賃料改定」に注意!
リフォーム会社と結託しキックバックを受けているケースも
丸投げはNG!重要な事項は自身で判断しましょう